投手の分業制 なぜ部活には普及しない?

高校野球でエースが連投することが多いのは、一つの高校の野球部で、甲子園出場校や県大会上位校を抑えられるような投手を複数そろえることが、非常に難しいからです。

2015年夏の甲子園は、小笠原慎之介投手(現・中日)と吉田凌投手(現・オリックス)の2枚看板を擁する東海大相模高が優勝しました。しかしこうした例はまれで、ほとんどの場合、一人のエースに頼らざるをえません。1度負けたら敗退するトーナメントのため、大差にならない限り、監督としてもエースを降板させることは難しいのです。

投手の故障を防止するために「100球以上投げたら翌日の登板禁止」といったルールを導入すべきとの声は、年々高まっています。メジャーリーガーが勢揃いするWBCですら投球制限があるのですから、高校生にも投球制限をすべきという主張は説得的です。

ただ、投球制限は、スポーツ推薦で優秀な選手を広域的に集めやすい私立に有利。高野連加盟校の大半は公立ですので、こうしたルール変更が多数の賛同を得られるかどうかは微妙です。

選手の負担軽減には「休養日の設定」「金属↓木製バットに変更」などの方法も有効です。しかし、大会日程を緩和すると授業期間との重複が問題に…。木製バットの復活は、バット用の木材不足を加速させますし、折れやすいため選手の経済的な負担が増えます。

投手の分業制の確立や、その他の負担軽減、故障防止は必要なのですが、どの対策もすぐに進めることは難しいでしょう。(ひろばライター・中村哲也)