スポーツ前とスポーツ後にどんなストレッチをすればいい?〈2〉

スポーツ前はダイナミック、 スポーツ後はスタティック

従来の静的ストレッチをスポーツ前に行った場合の問題点は二つです。一つはケガをしたかどうかを調べても効果があったという研究結果が出ていないことです。つまりケガの防止につながらなかった。もう一つは瞬発力などでパフォーマンスが低下したか、または変わらなかったという結果です(図2)。はっきり向上したという成果は見られなかったことです。

箱根駅伝を2連覇した青山学院大学のトレーナーは中野ジェームズ修一さんですが、中野さんは『運動前のストレッチはやめなさい』という本を書いています。ここで言うストレッチは静的ストレッチのことです。みなさん自身の体験でも、長い時間伸ばした後は今ひとつ力が入らないと感じたことがあるのではないでしょうか。では静的ストレッチに何の効果もないのかと言えば、そうではありません。疲れを回復させ、身体を柔軟にする効果は確認されています。

スポーツの前には何をしたら良いのか、まず身体を動かし体温を上げることが必要です。運動前のウォームアップに適したストレッチは、リズミカルに体を動かす有酸素運動をしながらストレッチできればそれが一番です。体を動かし体温を上げると、ケガ(傷害)の予防になります。

また、それまで休んでいた体と筋肉に「喝」を入れ、さあこれからスポーツが始まるぞと知らせてやるイメージも大切です。つまりスポーツ前は動的なストレッチ、筋肉を動かすダイナミックストレッチです。

ダイナミックストレッチの特徴は、リズミカルに体を動かす有酸素運動で、身体を温めながらストレッチすることです。またちょっと難しくて理論的になりますが、伸ばそうとする筋肉(主導筋)とは反対側の筋肉(拮抗筋)を収縮させることで、目的の筋肉(主導筋)を伸ばすストレッチです。

サッカー選手がブラジル体操をしているのを見た方も多いでしょう。このブラジル体操もダイナミックストレッチです。次ページにダイナミックストレッチの例を挙げてありますので、実際に試してみてください。

次にスポーツ後に適したストレッチでは、スポーツ後の身体を「静め」、疲労を回復することが必要です。それには皆さんよくご存じの静的ストレッチ、筋肉を伸ばすストレッチです。運動後のクールダウンやリラックスに、疲労を早く回復し、柔軟性=可動域の拡大にも効果があります。また後まで残る慢性的な障害を防ぐにも、クールダウンつまり静的なストレッチが適しています。

21世紀の新常識は、スポーツ前にはウォームアップに最適な身体を「動かす」ダイナミックストレッチ、スポーツ後は身体を「静め」て、疲労を回復し、筋肉を「伸ばす」スタティックストレッチです。

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