スポーツ中に倒れる人が増えている!? 運動中の突然死を防ぐには〈5〉

午前中の無理な運動は要注意?! ~時間医学の研究から

心筋梗塞などの心臓病は、1日のうちでどの時間帯に起きやすいのでしょうか。最近は「時間医学」の研究からいろいろなことがわかってきています。

時間の概念を取り入れた医学研究は1940年代から始まり、生体のリズムと病気には深い関係があることが徐々に明らかにされてきました。生命活動のリズムと同じ周期性が、病気のリズムにも観察されたのです。

例えば、東京都CCUネットワークの6787例の集計調査では、心筋梗塞の発症が午前8時〜10時に最も多いという結果が出ています。また、心臓病と同様に脳血管の事故(脳梗塞、くも膜下出血や脳出血)も、午前6時から正午までに多いことが知られています(表4)。

では、なぜ心臓病をはじめとする多くの病気が、朝〜午前中に多いのでしょうか。朝は、身体の仕組みが休息モードから活動モードに一気に切り替わる時間帯です。血圧や脈拍が急に増えます。血圧を上げるために、血管が締まり、細くなります。その結果、血液は流れにくくなり、固まりやすくなってしまいます。

一方、心臓や脳は、活動モードに切り替えるために、一気に多くのエネルギーと酸素量を必要とします。心臓における酸素の需要が増えるが、供給は不足するという事態となってしまうのです。このことが、いろいろな心血管事故が早朝に多い最大の理由です(図7)。

早朝は、血圧がボンと上がって、血管にできている軟らかい血液の塊を押し流す、そういう時間帯なのです。したがって朝に運動をするのは、血液の循環を良くするというメリットもありますが、血液の塊が詰まって心筋梗塞になる危険性も潜んでいるのです。

特に、普段はあまり運動をしていないのに、急に早朝ランニングを始めようとする時は要注意。毎朝ランニングを続けている人でも、朝起きて「胸が痛い」「めまいがする」など調子が悪いと感じたときは、無理をしないほうがいいと思われます。

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「スポーツのひろば」2012年12月号より