スポーツ中に倒れる人が増えている!? 運動中の突然死を防ぐには〈4〉

心筋梗塞はどんな病気か?

心臓に酸素を供給する冠動脈が詰まってしまい、心臓の筋肉が一部死んでしまった状態(壊死)になるのが心筋梗塞。原因は、動脈硬化がほとんどです。

例えば、水道管を手入れしないでいると、内側に鉄さびが付着して、管が徐々に詰まっていきます。動脈硬化とは、この水道管と同じように血管がさびついている状態と考えればいいでしょう。

血管の内壁に脂肪の固まり(プラーク)が付着して、血流が悪くなり、同時に血管そのものも硬くなっていく現象です。動脈硬化は、10年以上の歳月をかけてゆっくりと進行し、程度の差はあれ誰にでも起こります。40代あたりから加齢とともに急激に進行するのが特徴です。若くても生活習慣が不規則な人に起こることも多く、現在では生活改善などで治療できることがわかっています。

この動脈硬化が進むと、血流の圧力で亀裂が生じて、血栓という血のかたまりができます。この血栓が邪魔になり、言わば「三車線の道路が一車線しか使えなくて交通渋滞が起こる」ような状態が狭心症です。血管の輸送力が低下し、心臓は酸素不足になります。このときに激しい運動をすると、酸素不足なのに心臓は血液を全身に送り出そうとして、胸に強烈な痛みが走ることがあります。

さらに血栓が大きくなって冠動脈を完全にふさいでしまうと、心臓は、動くためのエネルギー源が得られなくなり、機能を停止してしまいます。これが心筋梗塞です。

心筋梗塞になると、心臓のポンプ機能が乱れ、心臓の筋肉が異常な速さで拍動を続ける「心室頻拍」が起こります。その後、心筋の細胞がバラバラに動きはじめる「心室細動」の状態になり、わずか10秒程度で意識を失います。

心室細動は、3分以内にAEDなどで「電気ショック療法」を行えば、回復することができます。しかし、それ以上の時間が経つと、脳への血流がなくなるため後遺症が残る恐れがあり、救命率が低下します。10分経過すると救命率は3%以下で、ほぼ回復は期待できません。したがって、心筋梗塞になった場合、AEDが用意できるまでの短い時間も非常に貴重です。その時は、一刻も早く適切な心臓マッサージを行うことが大切です。

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「スポーツのひろば」2012年12月号より