スポーツ中に倒れる人が増えている!? 運動中の突然死を防ぐには〈3〉

なぜ運動中に突然死が起こる?

スポーツ中における突然死の原因のほとんどは、心筋梗塞をはじめとする心臓病です。

(表3)を見てください。これは、東京都監察医務院の剖検データによる「スポーツ関連突然死」の原因をまとめたものです。一番多い原因は「虚血性心疾患」で、心臓に血液を送る冠状動脈で血液の流れが悪くなったり、血管が詰まったりするために、心筋が壊死して心臓の機能が停止する病気です。具体的な病名としては、狭心症や心筋梗塞などがこれに当たります。狭心症は、心筋梗塞の軽度な症状と考えればいいでしょう。

二番目に多い「急性心機能不全」は、心臓そのものには明らかな異常はないが致命的な不整脈が起きたと思われるもの。三番目が「他の心疾患(心筋炎、心筋症など)」で、突然死の原因の上位3つが心臓に関わる病気ということになります。このような心臓性突然死は、何もないところから〝突然に〟起こっているわけではありません。

スポーツ中に急死した人の心臓や血管の状態は、限界寸前の段階まで達しているのが大多数です。つまり、本人が気づかないうちに、何か潜在的な心疾患を抱えていて、そこにスポーツで体に強い負担をかけたことが引き金となって、最悪の事態に至っていると言えます。

(表4)は、最近のマラソン大会で起こった心肺停止例(49件)の状況を表わしたものです。ゴール直前・直後が多いですが、スタート直後や前半で倒れるケースも見られます。

年齢層を見ると、中高年が半数以上を占めますが、20~30代も結構多いです。また参加種目では、フルマラソンが12件、ハーフが15件、10kmが10件、その他12件で、距離が長いほど危険ということではなさそうです。「若いから(短い距離だから)大丈夫」と油断してはいけません。マラソン大会では、参加者も主催者も予期せぬことが起こりうることを念頭において実施することが大切でしょう。

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「スポーツのひろば」2012年12月号より