スポーツ中に倒れる人が増えている!? 運動中の突然死を防ぐには〈2〉

スポーツ中の突然死はどれくらいある?

日本で、スポーツ関連の突然死の実態を示すデータは少ないですが、東京都監察医務院の検案例(90年)のうち、急死679例がどのような状況で起こったかをまとめた資料があります(図1)。一番多いのは寝ている時で、次がお風呂。スポーツはわずか11例で、全体の2%しかありません。

しかし、1日の生活のなかで睡眠時間が占める割合は多く、スポーツをする時間は限られているのが普通です。そこで、一定の生活時間に起こる急死の発生率を考えると、睡眠が0・8に対して、スポーツは4・1とずば抜けて高い値です。つまり、突然死全体ではスポーツ中の頻度は多くないが、危険率は高いということになります。

次に、どういう種目で起こるかを見てみましょう。(図2)は、04〜09年に学校で起こった運動関連突然死を種目別にまとめたものです。最も多いのはランニングで、バスケットボール、野球、サッカーと球技が続いています。おそらくランニングは陸上部だけでなく、各運動部で準備運動やトレーニングとして行われる頻度が高いからでしょう。

古いデータですが、84〜88年に警察に報告されたスポーツ中の突然死(645例)の内訳が(表1)です。全体ではランニングが多いですが、年代別にみると40〜59歳ではゴルフ、60歳以上ではゲートボールが多いという結果が出ています。

年代によってスポーツの趣向が異なり、種目によって活動時間も違うので、ランニングを1とした「相対危険率」を算出したのが(表2)です。注目したいのは、ゴルフの相対危険率が40〜59歳では0・6なのに、60歳以上は7・9と数値がはね上がっていることです。登山やゲートボールも、60歳以上の人にとっては「ランニングより危険」という結果になっています。

これは、ゴルフやゲートボールは心臓に病気を抱えている人でもできるので、それだけ事故の可能性が高くなっていると考えられます。また、テニスや水泳は、普段からある程度トレーニングをしていないと続けられないという制約があるから危険率が低いのでしょう。

「ゲートボールは体力を使わないから大丈夫…」ではなく、どんなスポーツでも事故は起こりうると考えておいたほうが良さそうです。

前のページ← 1 2 3 4 5 6 次のページ→

「スポーツのひろば」2012年12月号より